2010年04月25日
中国艦艇の近海通過問題
沖縄本島の南方海域で海上自衛隊の護衛艦「あさゆき」に接近した中国海軍のヘリコプター=21日午後(防衛省提供
海上自衛隊艦艇「あさゆき」(写真奥)
中国艦艇の動向には
日本政府の対応と
あまり報道しないマスコミに
不信感を禁じえない
じゃあな
中国外務省は「公海上の恒例の訓練」
中国紙は「日本は神経質」
中国海軍のヘリコプターが沖縄本島南方海域で海上自衛隊の護衛艦に接近したことに関し、中国外務省の姜瑜報道官は22日の定例記者会見で、「中国海軍は最近、公海海域で恒例の訓練を行った」などと説明し、日本政府の抗議を一(いつ)蹴(しゆう)した。
国防省報道官も15日、中国海軍艦艇が沖縄近海などを通過したことについて、「公海上における正常な訓練で国際法にも符号する。世界各国で通用するやり方だ。むやみに勘ぐるべきではない」と反論している。
また、22日付の国際情報紙、国際先駆導報は、中国の艦艇が太平洋に抜ける公海ルートとして宮古海峡などを通る4本を挙げ、通過の通告義務はないと強調。「日本は中国艦艇が頻繁に外洋に出ることに慣れるべきだ」との中国海軍関係者の言葉を引用し、中国海軍の動向に対する日本側反応を「神経質」と指摘した。
中国艦艇の近海通過問題 中国艦載ヘリが護衛艦にまた接近
防衛省は21日夜、同日午後3時37分から40分ごろまでの間、沖縄本島の南方約500キロの海上で、中国艦艇を警戒中だった海上自衛隊の護衛艦「あさゆき」に対して、中国軍のヘリコプターが約90メートルの距離に接近し、2周ほど周回したと発表した。政府は外交ルートを通じて、中国側に抗議した。
中国軍の艦載ヘリの護衛艦への近接飛行は8日午前にも発生しており、度重なる近接飛行は日本側の監視を牽制するねらいがあるとみられる。
また、岡田克也外相は21日の衆院外務委員会で、中国艦艇10隻が沖縄近海を通過し、ヘリが近接飛行した問題について、ワシントンでの12日(日本時間13日早朝)の日中首脳会談で取り上げなかったのは鳩山由紀夫首相の判断だったことを明らかにした。
岡田氏は「ヘリの近接接近は現場で何度も起こったわけではない。中国艦船の日本近海通過も法的には認められた行為だ。そういう中で首相、首相周辺で総合的に判断した結果、首脳会談のテーマにしなかった」と説明した。
また、外相自身が外務省事務方から報告を受けたのは発生4日後の12日だとした。艦載ヘリの護衛艦への近接飛行は8日午前に発生し、同日夕に防衛省から外務省に伝えられた。岡田氏は自身への報告について「確か9日だったと思う」と答弁。その後、「私に上がってきたのは12日昼ごろ」と答弁を訂正した。
一方、武正公一外務副大臣は外務省が12~14日に外交ルートを通じて中国側に計4回申し入れを行ったことを明らかにした。近接飛行の事実確認を要請するとともに、ヘリの行為を「護衛艦の安全航行上危険な行為」と指摘し、双方の安全確保の観点から日本船舶に対し今後このような行動を取ることがないよう申し入れたという。
中国艦艇 沖ノ鳥島近海で活動継続 自民党、発表遅れを追及
中国海軍の艦艇10隻が日本最南端の沖ノ鳥島(東京都小笠原村)近海で活動したとの産経新聞の報道を受けて、防衛省は20日、この艦艇が現在も同島周辺で活動を継続し、同省で警戒監視を続けていることを明らかにした。ただ、防衛省がこの問題を13日まで公表しなかったことに対し、批判の声が高まっている。
防衛省の長島昭久政務官は20日の参院外交防衛委員会で、中国艦艇について「沖ノ鳥島の西方海域で引き続き活動している」と指摘、「自衛隊の艦艇や航空機が必要な警戒監視体制を継続している」と語った。
中国艦艇は、ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦やキロ級潜水艦などで、10日夜に沖縄本島と宮古島の間を南下したことが確認された。8日は艦載ヘリが監視中の海上自衛隊の護衛艦「すずなみ」の約90メートルまで接近。長島氏は、中国側に何度も事実確認を申し入れたことを詳細に報告した。
ただ、鳩山由紀夫首相と中国の胡錦濤国家主席の会談が13日早朝にワシントンで行われ、中国艦艇の行動に関する発表は会談後になったことから、自民党は中国に配慮して発表を遅らせたのではないかとの疑念を強めている。20日朝の自民党外交・防衛合同部会では、防衛省幹部が8日以降の対応について「経緯については詳細な整理をしていないが、適切なタイミングで報告した」と繰り返したが、出席議員は「何か問題があったから隠している」と猛反発。20日の参院外交防衛委でも、自民党の佐藤正久氏が「日中首脳会談が終わってから発表した。中国に気を使っているとしかみえない」と追及した。
自民党の反発の背景には、中国の軍備増強路線への警戒感がある。中国海軍は日本列島から沖縄、台湾を結ぶ「第1列島線」を越え、小笠原諸島、グアムを結ぶ「第2列島線」に至る海域での影響力強化を目指し、潜水艦や大型艦艇を着々と配備。今回の中国艦艇の行動を受け、防衛省関係者は「この海域で不測の事態が起きかねない状態になりつつある」としている。